大森歯科大学

大阪市中央区本町 大森歯科医院
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 〜明日の夢ある歯科を語る〜
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インプラントの害・矯正の優位性(EAO報告)
 こんにちは。大森です。

先日のEAOで個人的に面白かった内容をご報告させていただきたいと思います。


「インプラントをする前に矯正を考えよう」 「インプラントの害・矯正の優位性」

といったような内容でした。


講演者は、矯正専門医の先生だったと思います。

インプラントの学会で矯正の先生が話されるのは、珍しいことです。





では、その内容を見ていきましょう。





17歳の女性です。
上顎側切歯の先天性欠損です。(前歯が生まれつき本数が足りないこと)








矯正治療で歯を動かし、歯一本分のスペースをあけ、









そこにインプラントを埋入する。

一般的に行われる方法ですね。









すると、どういうことが起こったのでしょう。

20歳、27歳と、歳を取るにつれ、インプラントのところの歯が上に上がっているではありませんか!








現在の状態です。

見るからに左上の側切歯だけ上のほうに位置しているのが、見て取れます。


なぜこのようなことが起こったのでしょう?




これは、成長の仕業なのです。




天然歯は成長とともに骨と一緒に伸びていきます。

上の歯であれば、下に長くなっていく、ということですね。

しかし骨と結合しているインプラントは骨ごと動きません。人工物ですから。


そうすると、インプラントの周囲だけ取り残されて、他の歯は成長とともに長くなった、という結果が表れたのです。




歯を補う手段としてインプラントは大変優れているのですが、時に悲惨な結果に終わることがあります。

よく考えて使わないといけないのです。







この先生は矯正で解決することをお勧めしています。

その方法を見ていきましょう。




まず矯正治療により、スペースを歯牙移動により閉じます。

上顎側切歯が欠損ですので、犬歯が側切歯の位置に来て、第一小臼歯が犬歯の位置に来ています。








そして、犬歯はジンジバルレベル(歯の付け根の位置)が高いのが普通なので、

圧下の力をかけて、歯肉の位置を上に上げます。








次に、犬歯を側切歯の形に、小臼歯を犬歯の形に、コンポジットレジン(樹脂)を築盛して、
形態修正を行います。









次に、矯正で動かした歯が、元の位置に戻らないようにするために、
長期間に及ぶ固定をします。








そして、犬歯の位置に来た小臼歯に、適切な側方ガイドを与えます。











仕上げに、犬歯(側切歯の位置に来た)をホワイトニングします。

犬歯は元々、他の歯よりも黄色い色をしていますので、ホワイトニングすることにより側切歯のように見せるわけです。







終了後11年経過時。

非常に良い状態が安定しているのがわかります。



この先生は、大変数多くの患者さんを治療し、また、かつ長期に経過観察をしたケースをたくさん持ってらっしゃいました。

すばらしいことです。




このように、インプラントが必ず良いというわけではない場合もある、ということです。

患者さんの長い先を見据えて、何がベストの治療なのかを考えなければならないのです。



インプラントの学会で矯正治療の話が聞けるのは珍しいことですが、こういう企画もとても良いとおもいました。


是非みなさんの参考にしていただければ幸いです。


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